熊本県議会 本会議で城下広作の会議録
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7.避難行動要支援者対策について (1)避難行動要支援者への対応 |
◆(城下広作君) 大事な調査をしたわけですから、有効にといいますか、いろんな知恵を使って、子供のケアに対して効果が出るような形で取り組んでいただきたいというふうに思います。 では、次に、避難行動要支援者対策についてお尋ねをします。 災害時となれば、誰もが不自由を強いられ、ましてや今回のように未曽有の大地震の被害に遭えば、なおさら大変なことになります。 このような状況において、災害対策基本法で定められた避難行動要支援者、具体的に申しますと、高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児、難病患者や外国人等の要配慮者のうち、特に避難支援を要する者となっていますが、今回の震災における対応は十分にできたのでしょうか、大変気になります。 私は、発災直後から、益城町を初め、西原村や熊本市内の各避難所を訪問させていただきましたが、私がお会いした避難行動要支援者と思われる方々は、ほとんどが家族の方と一緒に避難所に来られており、身の回りのお世話を受けておられました。 しかし、中には、たった一人で避難所に来られた方、また、周りに気遣い、避難所を遠慮され、危険を承知で我が家にとどまっている避難行動要支援者の方がおられるとの声をお聞きしましたが、その後の暮らしが気がかりでなりません。 そこで、お尋ねいたします。 まず、第1点目の質問ですが、災害対策基本法では、市町村長は、避難行動要支援者について、避難の支援、安否の確認などを行い、それを実施するための基礎とする名簿の作成をしておかなければならないと規定されております。 また、災害が発生し、または発生する場合において、人の生命または身体を災害から保護し、そのほか災害の拡大を防止するため特に必要があると認めた場合は、避難のための立ち退きを指示することができるとも規定されています。 このように、法律上は明確に決められているのですが、今回の震災では、多くの県民の方々が避難行動要支援者の方々と同じような被害を一斉に受けたことで、発災当初は十分な対応はできなかったと思います。 しかし、その後は被災地の避難行動要支援者への対応は万全にできたのでしょうか。また、今後このような災害を受けた場合の初期対応についてはどのように考えておられるのか、蒲島知事にお尋ねをします。 次に、第2点目の質問ですが、避難行動要支援者の中には、例えば重度身体障害者や医療器具が必要な方、発達障害者など、避難所での暮らしになじめない方が多数見受けられると聞いています。 ある小学校の避難所では、重度身体障害者の高校生を持つ御両親にお会いしましたが、保健室の机の下で高齢者の方と一緒になって身を丸くして過ごしていました。 その母親と話をしましたが、自宅マンションも倒壊のおそれがあり厳しい状況にある、しかし、安心して預けられるところがないと大変悩んでいるお話を聞きました。その後、遠く離れた芦北の療育医療センターを一時利用されましたが、ここも2週間したら出なければならないと困惑されていました。 また、発達障害の息子さんを持つ父親の相談内容は、発災直後、息子さんと一緒に避難所に避難したが、余りの混雑と見知らぬ場所で戸惑ったのか、息子さんが大きな声を上げるなどパニックを起こしたそうです。 その後は、状況を判断し車中泊を選ばれ、救援物資も当然順番を待たなければもらえず、息子さんを抱えて長時間待つことができないことから、被災後数日間は食べるものに事欠いたと伺いました。 そこで、お尋ねしますが、今回の震災で同じような悩みをお持ちの方は各被災地にもっと大勢おられたと思います。 しかし、現実は福祉避難所が少なく、利用を必要とする避難行動要支援者が不自由な避難生活を余儀なくされる結果になりました。 今後は、福祉避難所をふやすことを検討するとともに、例えば、県下にある特別支援学校を福祉目的の避難所に特化し対応することも考えられますが、避難行動要支援者の避難所等のあり方についてお尋ねをします。 次に、第3点目の質問ですが、先ほどの質問に似たような質問ですが、災害時において、高齢者、障害者等であって、避難所での生活において特別の配慮を要する方々を対象として、熊本県内の旅館、ホテルに宿泊できるよう、熊本県と熊本県旅館ホテル生活衛生同業組合との間で協定を締結しています。この宿泊施設を利用すると、食事と入浴のサービスが受けられ、費用は国と県が負担し無料となります。 この被災者に対する宿泊施設提供事業は余り知られていないようですが、利用されている方からは、大変喜びの声をいただいているとともに、問題を指摘する声も一部あります。 今回、この事業を利用された方は、5月末現在で、56施設、849名に上っています。 地域別で見ますと、天草市が断トツで多く、次は上天草市、そして熊本市、人吉市となっています。 ちなみに、この事業は、県外の旅館、ホテルでも利用可能で、わずかですが、福岡県や宮崎県、鹿児島県でも利用されている方がおられます。 そこで、お尋ねしますが、この被災者に対する宿泊施設提供事業は、対象者にとってはとても配慮した事業だと私は思います。ただ、利用したくても、この情報を知らなければ利用できません。この事業について周知徹底は十分だったのでしょうか。周知のあり方についてお尋ねします。 また、利用が可能な施設の地域分布を見てみますと、かなり隔たりがあるように見受けられます。被災した地域は仕方ないにしても、協定書の趣旨からして、もし多方面の地域からの受け入れ可能な旅館、ホテルがあれば、利用者の選択肢もふえ、より多くの方が利用できたと思います。現に、申し込まれた方の中には、自宅からの距離が遠過ぎるとの理由から辞退をされた方も多いと聞いています。 そこで、この事業の申し込みに当たり、利用ができた方、利用ができなかった方がいましたが、宿泊施設の提供に当たって何か問題はなかったのか、お尋ねします。 2点目と3点目は、古閑健康福祉部長にお伺いをいたします。 〔知事蒲島郁夫君登壇〕 |