熊本県議会 本会議で城下広作の会議録
|
・不況による県内の雇用対策と中小企業対策について
(1)緊急地域雇用創出特別基金事業の計画的推進 |
◆(城下広作君) 公明党の城下広作でございます。 まず初めに、去る十二月一日、皇太子妃雅子様がめでたく御出産されました。皇室にとりましては、一九九四年、秋篠宮御夫妻の次女佳子様誕生に続く七年ぶりの慶事を心よりお祝い申し上げますとともに、母子ともに健やかであるとのこと、大変うれしく思います。待望の内親王誕生の明るいニュースは日本列島を走り、久々と活気づいている感があります。 さて、二十一世紀の本年も、あと二十日余りで終わろうとしています。この明るいニュースとは裏腹に、振り返りますと、この年も厳しいものがありました。我が国の経済はバブル崩壊後急速に後退し、それに沿うかのように本県経済も大きな影響を受け、大変厳しい財政状況に陥っているのは周知の事実であります。 それに追い打ちをかけるかのように、九月十一日にアメリカで起きた同時多発テロの影響は、我が国の景気浮揚の旗頭として期待されたIT産業に甚大な影響を及ぼし、国内の関連企業は未曾有のリストラ計画を相次いで発表するなど、その波動は、IT関連にとどまらず、あらゆる分野に影響を及ぼしながら拡大し、先行きの見えない状況にあります。その結果、総務省発表によれば、十月の完全失業率は過去最悪の五・四%を記録し、完全失業者数も三百五十二万人に達しました。 そしてさらに、日本では絶対に起こり得ないと農水省も自信を持っていた狂牛病、いわゆる牛海綿状脳症が、去る九月十日、我が国で初めて一頭確認され、その初期対応のまずさから、国民に不安を与え、情報の散乱や憶測、行政の対応の不信も加わり、畜産農家や流通業者、食肉サービス業者は過去に経験したことがない事態に見舞われ、先月二十一日には国内二頭目、三十日には三頭目の狂牛病が発見され、少しは上向きかげんだっただけに、その落ち込みは想像がつかない様子です。 このように、予想だにもしない要素が加わったことにより、景気の悪化に拍車がかかり、県内でも、この冬の寒さを痛感する前に、不況という寒波をもろに受けた企業や就業者は凍死にも似た倒産やリストラに遭い、その数も少なくありません。特に、建設業をトップに、卸売業、サービス業は、このままではこの勢いはとどまる様子もなく、この年末を越せるのだろうかと、経営者や失業者は師走の道のりを血眼に走り続け、その家族は祈る思いで帰りを待っているのが現状なのです。 こうしたことから、国も、小泉総理を本部長とする産業構造改革・雇用対策本部を、五月、政府内に設置し、力を注いできたわけですが、構造的な要素も含んでいるだけ に、景気や失業者対策が容易に改善することはそう簡単ではないようです。それゆえ、この秋の臨時国会で審議され可決した補正予算は、雇用対策が柱であり、中小企業の経営支援も盛り込まれていることに大きな期待を寄せることは至極当然のことであります。 具体的な雇用対策として、緊急地域雇用創出特別交付金の創設で三千五百億円、再就職が困難な四十五歳以上六十歳未満の中高年者への支援策として、失業等給付の所定給付期間終了後も再度職業訓練を受けることを条件に、所定給付日数を超えて最長二年間の訓練延長給付を受ける制度や、雇用保険をもらえない自営業者や雇用保険の給付期間が終了した失業者に、月額二十万円を上限とする生活資金を貸し付ける離職者支援資金の創設など、そのほかにも雇用不安を緩和するさまざまな措置を講じているわけです が、特に雇用対策として重要になるのが緊急地域雇用創出特別交付金の創設であります。 そこで、質問の第一点目としてお尋ねしたいのですが、我が県にも五十六億円交付され、今回の補正予算で計上されているわけですが、十三年度内に実施される事業分は、県実施事業費で一億二千七百万円、市町村実施事業費で一億円と、合計でも二億二千七百万円と極めて低く、県下の厳しい雇用情勢を考えたときに、果たして緊急の雇用対策として十分な機能を発揮するのだろうか心配します。 確かに、前事業の緊急地域雇用特別基金事業が来年三月末まで実施されていることや、今回の事業に八割以上の人件費が必要であるとか、四分の三以上が失業者でなければいけないなどの規定があり、事務的に煩雑だったとしても、前事業のノウハウや経験を生かし、たとえ一億円でも二億円でも事業計画ができれば、この年末年始に何十人、何百人の雇用創出ができたかもしれないと考えたならば、もっと事業計画を考え提出すべきではなかったかと思いますが、御答弁をお願いいたします。 ちなみに、昨年度の警察庁集計によれば、負債や失業など経済・生活問題で自殺した中高年者は一日平均十九人に達したそうです。 第二の質問ですが、そもそも前事業である緊急地域雇用特別基金のときも、県事業では、新規雇用が少ない事業を実施したり、各市町村はほとんど似たような事業が多かったのは、県において、この数年前から雇用不安がささやかれていた中、中長期的な雇用対策の計画が不備であったのではないか、また、事業の内容についても、ハローワークなどと連携をとるならば、わずかでも失業者とのミスマッチを改善する事業計画の創出につながったのではないかと思います。 その反省からかはわかりませんが、九月十八日に第一回熊本県緊急雇用対策会議が開催され、十一月三十日には第二回の雇用対策会議が行われました。この会議の意義は大変重要だと思います。 しかし、今回のように、緊急的に事業計画を作成することに当たったり、各市町村と素早い連携をとることや、今後さらに雇用の悪化が深刻の度合いを増したときなどのことを考えれば、今以上に対応のスピードが要求され、そのための大胆で柔軟な対策ができる雇用対策会議を強く望むのですが、雇用対策本部長の立場である知事としてどのように考えておられるか、お尋ねをします。 次に、三点目の質問ですが、中小企業の支援についてでありますが、雇用状況と同じく、我が県の中小企業経営者も大変厳しい状況にあるのは御承知のとおりであります。先々月十月も二十三件の企業が倒産をし、本年度初頭からの累計倒産数は百十五件で、金額にしても、総額四百七十四億八百万円に上っています。 この十二月は正念場と、必死になって資金繰りに走る経営者は県下至るところにおられるのです。建設業を初め、予算の削減によって事業の後退を余儀なくされたところも多いのですが、中には、仕事はやっているが、売掛金が随分あると頭を抱えている経営者も相当いるようです。 今回、国が、中小企業支援の目玉の一つとして、売掛債権を担保に信用保証協会による公的な返済保証をつけることで新たな融資を受けやすくする売掛債権担保融資保証制度を発表しましたが、円滑な運用ができるよう、県からも信用保証協会や金融機関に強く要望していただきたいと思いますが、どのように考えておられるか、お尋ねをします。 また、県としても、本来健全な経営状況にありながら急激な景気悪化に見舞われた企業を中心に、金融円滑化特別資金の当初予算枠を拡大し、九月の補正予算では、さらに総額百億円になる融資枠を拡大し支援をしてきたわけですが、今現在の金融円滑化特別資金の貸し付け状況がどのようになっているのか、また、年末は企業として貸し付け希望が一番多い時期であり、万が一金融円滑化特別資金の融資枠を超えるようなことがあった場合、さらなる融資枠の拡大を実施する考えはあるのか、お尋ねをします。 次に、四点目の質問ですが、県下でも、狂牛病発生から、牛を対象に生計を立てておられる方が大勢被害に見舞われ、現在も厳しい状況にあることは変わりがないのです。国も、食肉で処理されるすべての牛を対象にスクリーニング検査で対応するなど、国民の食肉に対する不安を払拭することに全力で取り組み、金融支援策についても、畜産農家を中心に体制が整いつつありますが、一方でよく不満の声を聞くのが、肉の小売店であったり、焼き肉店を中心に、飲食業の方々であります。 そこで、公明党県本部として、焼き肉店や肉の卸売店、精肉店等県下六十三店舗を対象に、実態調査を先月末から今月初めに実施した結果、売り上げが五割以下になったところが四六%、三割から五割までが四二%と、三割以内でおさまったところはわずか一二%になり、中には、二割まで激減して、もう倒産寸前です、ことしまでもつかわからないと、半分あきらめ状態でアンケートに答えてくれた方も見受けられました。また、要望として多かったのは、早く原因を究明して適切な対応をとること、また、マスコミの報道にも不安をあおる内容があるのではないかとの声があり、支援面においては、確実に、また素早い対応で融資が受けられる体制を実施してもらいたいとの声が多くありました。 そこでお尋ねします。 現在、信用保証協会が設けているセーフティーネット保証制度、政府系金融機関が実施しているセーフティーネット貸付制度、また、県の金融円滑化特別資金等の各制度で救済しているのですが、実情は、融資枠の拡大ということで、狂牛病の発覚以前に同制度を利用されている方々は、大半が新たな融資を受けられにくく、断られるケースが多いようです。できるだけ実効力のある制度にしてもらいたいのですが、貸し付けの状況はどのようになっているのか、お尋ねします。 また、今回の場合、異例なケースのため、極端な落ち込みの食肉サービス業者に対して、県独自で新規の融資制度で救済することも絶対必要なことであると思いますが、どのように考えておられるか、お尋ねします。 以上四点、長くなりましたが、まず第二点目の質問から知事に御答弁をお願いいたします。そして、第一点目と三点、四点目は商工観光労働部長にお尋ねをします。 〔知事潮谷義子さん登壇〕 |