熊本県議会 本会議で城下広作の会議録
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3.観光立国を目指す政策
(1)観光条例の必要性 |
◆(城下広作君) 先ほど教育長が答弁でありましたけれども、小学校の教諭の場合に、特殊学級の教諭免許を持っている方は決して少なくはないわけでございます。そのクラスの数よりも多い免許取得者の先生がいるにもかかわらず、四割を切るというこの配置というのは、もしかしたら、その先生方の希望が違う部分に希望されて、結果的にその配置を満たすことができなかったというふうになっているのではないかというふうに心配をするわけでございますけれども、大人のといいますか、教育者のその希望を優先したことによって、本来資格を持っている者を生かせるところに配置されていないということであれば、本来教育の原点から考えると、これは間違ったことだということは明らかだと思うんですけれども、これは絶対そうしなきゃいけないというものがないから、ある意味ではこういうふうな現状になっているということで理解をしているわけでございますけれども、やはり資格のない人よりは資格のあった方、また、この資格を取っているということは、それなりに大学のときに勉強をして、また実務経験もある方がこの資格を取り、また、教員の採用試験で、ある意味では少しはプラスに採用として働いたのではないかという考慮も考えられるわけであります。 そのことを考えれば、そうした先生方が、なるべくそういう形で私は担任になるのが望ましいのではないかというようなことを考えて、このことを訴えているつもりでございます。よくその辺のことを考えていただきたいというふうに思います。 次に、これも午前中の渡辺議員も話をされましたけれども、私も観光のことについて若干質問をさせていただきたいというふうに思っています。 政府の本年度予算案の中に、非常に注目を引く事業がありました。所管は国土交通省総合政策局観光部なのですが、小泉総理みずから力説され注目を集めているのが、我が国に訪れる海外旅行者の数を二〇一〇年度までに倍増するという計画で、本格的な観光立国を目指す政策であります。 既に、五月二十一日、首相官邸で観光業を基幹産業に育てる方針を協議する観光立国関係閣僚会議の初会合が済んでおり、その中で、小泉首相は、外国を見習い、一丸となって対策を進めてもらいたいとあいさつされたそうです。 この背景には、我が国を訪れる外国人旅行者数が、平成十三年度で四百七十七万人、海外を訪れる日本人旅行者数は千六百万人と、来日する旅行者数は日本人海外旅行者数の三分の一にも及ばない状況があるからであります。 これは、世界的に見ても低水準で、平成十三年度で世界第三十五位、アジアで九位という現実があるのです。当面は、二〇一〇年度を目途に訪日外国人旅行者数を八百万人にすることが目標で、本年度は約五十億円の予算を計上し、まずは日本をPRする本格的、戦略的な海外宣伝の実施に二十億円を盛り込んでいるようですが、国の取り組みに期待したいと思います。 特に誘致国として力を入れていくのが、韓国、米国、中国、国ではありませんけれども香港、台湾、重要な市場と位置づけ展開していくようですが、御承知のとおり、現在、アジア地域を中心にSARS問題が深刻で、観光にとって大きな障害となっていることから、当面韓国、米国市場に着手し、SARSが終息次第直ちに台湾、中国、香港と、事業を開始できるように準備を整えておくという考えなのです。 そこで、今後大事になってくるのは、この事業が軌道に乗り始めたとき、訪日旅行者が一体国内のどこに出かけていくのか、本県がただ指をこまねいて見ているようではだめだということです。 この機会をとらえ、我が県も国の施策に呼応し、観光立国ならぬ観光立県熊本を、国内観光客の大幅増も視野に入れた観光戦略プランを標榜すべきだと思います。なぜなら、観光客がふえ続けると、経済効果が見込まれ、雇用の創出が期待できるからであります。ちなみに、国の試算では、外国人観光客が倍増すれば、新たに四兆二千億の経済効果と二十五万人の雇用が生み出されると推測しています。 ここで、本県の観光統計に目を向けてみると、平成十三年度の観光客総数は、日帰り、宿泊ともに微増で、県全体で対前年比三・八%増と、十年連続の増加となっていますが、圧倒的に日帰り客が多く、宿泊客数は、この十年間余り変動がなく、横ばい状態であります。やはり、一人当たりの観光消費額を考えれば、日帰り客三千九百四円と宿泊客一万四千九百一円の違いは大きく、宿泊客の伸びが最大の課題であります。 ただ、うれしいことに、外国人観光客については、日帰り客はわずかに減ったものの、宿泊客が対前年比二・八%増になったことは、熊本の魅力が少しずつ国外でも広がり始めたのかもしれません。しかし、本県の宿泊客数を九州全体から見ると、宮崎県、佐賀県に続き三番目に低く、阿蘇、天草、小国郷と、全国的に高い知名度と歴史文化の薫る地域を多く抱える県だけに、何かしら不満の残る結果と、県の対応のあり方を再考する必要性を感じます。 そこで、質問の第一点目ですが、観光と言えば、行政は民間の努力が大事と主張し、観光事業者や観光関係団体は行政支援のあり方に不満を漏らすことが多分にあります。その結果、論議を重ねている間に観光客の足は次第に遠のき、その地域は結果として寂れていく、残念ながらこのようなケースが身近に見受けられるようです。 このような事態を絶対招かないように、観光を基幹産業と位置づける北海道では、今まであいまいだった道の責任並びに道民、観光業者及び観光関係団体の役割を明らかにし、北海道経済の発展を掲げた北海道観光のくにづくり条例を平成十三年十月に施行しました。決して他県に引けをとることのない熊本県の観光地、観光立県の名のもとに、県の責務と県民、事業者や団体の役割を明確にし、官民一体となり熊本の観光意識を高める観光条例を設定してもよいのではないかと思いますが、御所見をお伺いいたします。 第二点目の質問ですが、具体的な取り組みについて伺いたいと思います。 観光客は、さまざまな団体やグループが考えられるわけですが、特に目減りが激しい修学旅行の受け入れ拡大、明春開通予定の新八代―西鹿児島線に伴う受け入れ対策、また東京や大阪、名古屋といった大都市の旅行者受け入れ拡大など、また、外国の拡大対策は、間もなく運航予定の韓国定期便の開通による受け入れ対策など、ほかにもいろいろ考えられます。そして、ハード的なものでは、観光地の整備や案内標示の充実、特に外国人に対しての外国語標示などが考えられるのですが、先ほど来述べているようなさまざまな問題点を整理し、今後の県観光戦略の基本となる観光客来訪促進計画の策定を早急に取り組むべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 第三点目の質問ですが、観光客拡大の呼び水の可能性が高い戦略の一つにフィルムコミッションがあります。御承知のとおり、映画のロケ地やドラマ、CMの撮影場所を誘致したり、情報の提供などを行う事業であります。 現代は映像の時代と言われております。例えば、映画の「ローマの休日」を見てローマに行き、オードリー・ヘップバーンのように階段の下でアイスクリームを食べたり、真実の口に手を入れてみたいと思い実際にローマに行く人がいたり、ドラマ「北の国から」を見て北海道富良野に行ってみたいと、映画やドラマのロケ地にはかなりの人を引きつけるきっかけになるようです。 最近、熊本の阿蘇をロケ地とした映画「黄泉がえり」もその効果を発揮し、ロケ地の阿蘇を若い女性が訪れるらしいです。また、映画やドラマとは別な角度で阿蘇が米国内に広く知られるようになったのが、あのカントリーゴールドであります。過去十四年間、毎回米国よりテレビ局が来日し、何らかの形で米国にて放映されています。 例えば、米国三大ネットワークのNBC「サンデー・トゥデイ」で、これはゴールデンタイムに放映されるのですが、三十分特集を四週、それを二回実施されたとか、ザ・ナッシュビル・ネットワーク、全米ケーブルテレビですが、カントリーニュースとして三十分番組を放映したりと、広く熊本が知られているようです。 内容も、阿蘇やアスペクタのことだけではなく、県知事表敬、水前寺公園、熊本城など多岐にわたり、GOVERNOR義子・潮谷は間違いなく米国のメディアに紹介されているわけです。 残念ながら、このカントリーゴールドもことしで終了するのではないかと言われているようですが、私たちが想像する以上に熊本に貢献していることを知ったとき、何とか存続したいと思いがあるのですが、この裏方を務める照明や音響の技術屋の方々はすべて地元の熊本のスタッフで、全国的に高い評価を受け注目をされており、地元雇用にも影響しています。 どんなによい景勝地や歴史を持った地域も、広く一般の方に知られなければ、人が来ることは容易なことではありません。観光客の増大を望む方法として、フィルムコミッションの設立は、大変有効な手段ではないかと考えられます。 残念ながら、本県はまだ昨年八月に設立された天草一カ所であります。その天草フィルムコミッション、NHK大河ドラマ「武蔵」の最大の山場である巌流島の決闘が、天草の海岸で撮影されることが決定しました。ちなみに私の出身地でありますが、まさにフィルムコミッション、この最大の効果を発揮できたのではないかと思います。 また、知事も熱心に誘致されたということは十分聞いております。全国的に見ると、県みずから設立している愛媛県や山口県、ほか数県、市町村を入れれば数え切れないほどの登録がなされております。県としてフィルムコミッションの設立をどのように考えているのか、また、県を含めて県下の市町村の中で設立を考えている自治体はあるのか、お尋ねをします。 以上三点、商工観光労働部長にお尋ねをいたします。 〔商工観光労働部総括審議員小山智君登壇〕 |