熊本県議会 本会議で城下広作の会議録
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2.公共事業に携わる事業者の今後の支援について
(1)異業種転換の支援策 |
◆(城下広作君) 確かにまだ不透明な部分がありますけれども、改革改革と、国民、また県民はよく耳にいたします。その改革の先には必ず幸せがある、ある意味ではよくなるということで、皆今までは協力をしてきたと思います。今回の改革も、やはりすべては県民のため、ひいてはまた国民のために行われる改革であるというふうに私たちは強く望むものでありますし、そのためには、知事は本当に先頭を切って今回の改革でも頑張っていただきたいということを、改めて申し述べておきたいというふうに思います。 私たちの先祖である江戸時代に例えば生きた方も、天保の改革だ、寛政の改革だとか、ずっといろいろと改革改革という形の部分で、とにかく生活が大変厳しい部分で余儀なくされてきたというのがありますので、今回の大きな改革は必ず実を結んでいただきたいというふうに思っております。 次に、二点目の質問に入りたいと思います。 今回のこういう改革にあって、一番影響を受けるであろうということを想定しまして取り上げておりますこの問題でございます。公共事業に携わる事業者の今後の支援についてということで、県が行財政改革を進めるに当たって、やはり一番影響を受けるだろうと心配されるのが公共事業の予算縮減ではないかと思います。 現に、現行の財政健全化計画においても、国庫補助事業一〇%、地方単独事業三五%の一律削減を早々と打ち出し、現在実行中であります。しかし、公共事業が厳しさを増してきたのは、ここ数年前から始まったことではなく、あのバブルの崩壊時から既に始まり、その裏づけとして、県内の建設投資額、出来高ベースで見てみると、一九九一年、平成三年の約一兆五百億円に対し、二〇〇二年、平成十四年は約七千二百億円に下がり、単純に比較しても七〇%以下まで激減していることになります。 一方で、この間における県内許可業者数を見てみると、七千五百から八千業者と、ほとんど変わらず、県内の業者を取り巻く環境の厳しさは、事業者はもとより、関係者以外の方でも現状は理解されていると思います。ただ、世論の中には、むだな公共事業が存在したと指摘する声も少なからずあり、特に景気対策としての公共投資の評価は賛否両論で、時には政局の重要政策として論議されたことがたびたび話題になりました。 しかし、現実問題として、現状は、国も地方も、是非は別として、景気対策やインフラ整備の充実を図るために積極的な公共投資が行われ、事業者の数は、自由競争の原理から規制をかけることもできず、本来の適正な事業者数を上回り、肥大化し、その結果、ここ数年の公共事業の激減とも相入りまじり、しのぎを削る競争が発生し、資金力のない事業者は倒産に追い込まれ、そうでない事業者も、国や県の制度融資をフルに活用し、これ以上新たな融資は不可能な事業者が県下に数多く存在しているということです。 今後の行財政改革の内容次第では、公共事業に携わる事業者の倒産はさらにふえ続け、大量の失業者を生み、景気回復の期待とはほど遠い結果を招くのではないかと心配するのは私一人ではないと思います。特に、公共事業の依存度が高い市町村の事業者は、地元雇用の悪化や共倒れを招く心配があると危惧されています。 こうしたことから、国も、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇四の中で、公共事業の削減など厳しい経営環境が今後も続くと予想されることから、建設業の新分野進出支援策の構想を打ち出し、中小企業の新分野進出への取り組みが円滑になされるよう、情報提供、中小企業対策や雇用対策の活用、農業、福祉、環境等の分野への進出に係る規制、制度の見直しや構造改革特区の活用を視野に入れた支援策を考えているようです。本県では、既に八月から、県中小企業支援センター、くまもとテクノ財団で、建設事業者経営相談窓口を開設し、巡回による相談を県下各地で実施し、年明けの予定まで決定していると聞いています。 そこで、第一点目の質問ですが、今後は、恐らく肥大化した事業者を満足させるだけの公共事業費の増大は当分見込めないのは確かだと思います。そうなれば、当然国の考える新分野への進出や整理統合も視野に入れた助言、それに伴う有効な支援が必要と思うが、既に実施された相談の中で、異業種への転換や新分野への進出を希望する事業者の割合はおよそどれくらいあったのか、また、そうした希望者に対して十分な助言や支援策は講じられているのか、具体的な支援策をお尋ねします。 ちなみに、昨年末ぐらいに国土交通省が業界団体に協力を依頼し調査した結果、異業種転換策として多かったのが、リフォーム事業三一%、リサイクル事業が二三%、農林水産分野一一%、介護などの福祉分野九%という結果が発表されていましたが、他県の例を見てみると、既に農業分野において、無農薬ハーブの栽培や間伐材を使った炭づくり、有機栽培のブルーベリーと、注目を集めたりして成功している事例が幾つかあるようです。 次に、第二点目の質問ですが、公共事業費の予算縮減に伴い、入札に関する問題も発生していると思います。 具体的な例を挙げれば、建設工事に係る業務委託の低価格化であります。予算の減少で入札物件が減り続け、受注する機会が大幅に減ることで、事業者としては当然落札をしたいという意思が優先し、後々の仕事量や必要経費の大幅な見込み違いで、受注したことが引き金となって倒産の原因になったり、中には、当面の資金繰りを乗り切るために無理して低価格で落札をした結果、業務に支障を招くケースがあったりと、幾つかの弊害が出てき始めています。 工事に係る入札においては、そのような問題点を想定し、低入札価格調査制度や最低制限価格を設けて対応し、成果を上げているのですが、業務委託の場合は、今までのところ両方ともない状況です。 確かに業務委託の場合、工事業との違い、技術力の差で他社の価格より低価で請け負うことができるとしても、明らかに業務の履行に支障を来すと思われる低価格の入札の場合、工事発注の条件と同じように、事業者の育成や成果品に支障がないような対策として、低入札価格調査制度の導入を検討してもいいのではないかと思いますが、県としてどのように考えておられるか、お尋ねをいたします。 以上二点、土木部長にお尋ねをいたします。 〔土木部長松原茂君登壇〕 |