熊本県議会 本会議で城下広作の会議録

3.7.12熊本広域大水害の復旧対策と今後の防災・減災対策について

(1)白川の河川整備計画
(2)立野ダムの効果
(3)龍田陳内地区の今後の復旧
(4)土砂災害の今後の対応
(5)防災、減災に対する今後の対応
(6)災害ボランティアの効率的な活動支援

◆(城下広作君) 知事の認識は、本当に一部我々も同感をする――まさに代表選が各政党行われますけれども、一日も早い、ある意味ではまともな国政、国会、また運営ということをともに期待をし、進めてもらいたいというふうに思っております。
では、もう時間がございません。3番のほうの質問をさせていただきます。今回の災害についての質問でございますので、どうかよろしくお願いいたします。
いつもと違う、聞きなれない言葉が耳に入ってきました。これまでに経験したことがないような大雨が降るとの注意を呼びかける天気予報でした。どんな雨か想像もつかないまま推移を見守っていましたら、その言葉の予想どおり、7月11日から14日にかけて、猛烈な豪雨が九州北部地域を襲い、各地に甚大な被害をもたらしました。
振り返りますと、12日の朝6時過ぎ、1本の電話があり、白川の水があふれそうだ、状況を把握してくれとの内容でした。すぐさま県下の同僚議員に連絡をとると、県南関係は比較的被害が少ない状況でしたが、県北関係、特に阿蘇地域や菊池地域、そして白川流域の大津町、菊陽町、熊本市内関係では、植木や龍田地域では大きな被害が出ているとの報告が次々に入ってまいりました。
公明党本部として、即座に災害対策本部を立ち上げ、阿蘇地域と白川流域が特に被害を受けていることから、早速手分けして現場に向かいました。私は、熊本市の龍田陳内地区に出向きましたが、現地周辺にはとても車が入れる状況ではなく、遠くに車を置いて歩いて向かいました。だんだん現地に近づくと、異様なにおいが漂ってきました。そして、現地に到着し目にした光景は、私の知るいつもの光景とは全く大違いでした。
道路は土砂で歩けないほど埋まり、車は横転、護岸近くに進むと、濁流で押し流され倒壊した住宅や傾斜した住宅があちらこちらで見受けられ、倒壊が免れた住宅でも、2階近くに達する浸水で、1階の窓ガラスはほとんど割れ、家財道具は泥土にまみれ散乱し、足の踏み場もないような状況でした。
被災された住民の方々は、半ば放心状態で、何から手をつけてよいのか、ただ床にたまった大量の土砂を掃き出すのが精いっぱいの様子でした。後に県議会の現地視察の際に出された陳情書の中に、もう二度とこのような経験をしたくないとの訴えは、今回被害に遭われた方々の心からの叫びだったと聞こえてなりませんでした。
その後、龍田陳内の上流に当たる龍田1丁目、龍田弓削1丁目、龍田町弓削と同じような光景を目にしながら、被災者の要望、苦情等を聞き、その後向かったのは、県防災消防ヘリ、自衛隊ヘリとともに16名、合計32名の方が救助、搬送されたKKWINGに立ち寄り、最初に救出された方に当時の様子を伺ったところ、いつ家が流されるか心配で生きた心地がしなかった、もうだめかと思ったなどの生々しい声を聞き、感じたことは、被災者の気持ちに寄り添い、一日も早い被災地の復旧、復興を誓いながら、夜の対策本部を目指して現場を後にしました。
そこで、何点かお尋ねをいたします。
まず第1点目ですが、この白川の氾濫で、過去においても死者や行方不明者、家屋や堤防の損壊など、どれだけ甚大な被害を出したかはかり知れません。そのような経緯もあり、白川流域住民は、大雨が降るたびに氾濫の危機におびえながらの生活を余儀なくされています。
白川流域住民の願いはただ1つ、どんな大雨にも耐え得る白川の河川改修を強く望むだけですが、そのもととなる白川の整備計画について、今回のような同様の大雨がいつ降るかわかりません。今の整備計画で大丈夫なのでしょうか、今後見直す必要はないのでしょうか、お尋ねをします。
第2点目ですが、今回被災された白川流域住民の皆様からよく尋ねられるのは、もし立野ダムが建設されていた場合、白川の水位の低下はどれだけ見込めたのかとの質問でした。この質問は住民説明会でもよく聞かれました。
今月11日、国土交通省九州地方整備局は、立野ダム建設事業の関係地方公共団体からなる検討の場で、立野ダムが最も有利と発表しました。では、仮に立野ダムが建設された場合、例えば龍田地域付近とか熊本市内中心部でどれだけの水位の低下が見込まれるのか、また、そのほかにも効果が見込めるのか、お尋ねをいたします。
第3点目の質問ですが、前段で述べた龍田陳内地区の復旧についてお尋ねします。
この地区は、今回の白川流域の中でも、住宅の倒壊や床上浸水の規模で特に被害が大きいところでした。この地区は、平成2年の水害で堤防を越えそうになったため、その後堤防を1メートルほどかさ上げし、これを越えることはないだろうと誰もが安心されていたようです。
現に、新築3カ月で今回の洪水に遭われた御夫妻の話を伺うことがありました。夫婦の話によれば、新築される前、地元の方に過去の水害の様子や堤防かさ上げの経緯を伺い、それでも念のためにと思い、さらに地盤を上げての新築だったのですが、ここまで水が上がってしまえば防ぎようがありませんと、やり場のない怒りを抑えるので精いっぱいの様子でした。
そこでお尋ねしますが、今日の異常気象の現状から、またいつ起こるかもしれない洪水の恐怖を考えると、とてもこの場所に住めないとほとんどの住民が思っています。仮に、今の堤防の上にさらにかさ上げしようとしても構造上不可能で、やるとすれば、河川の護岸からやり直さなければなりません。かさ上げしたとしても、何メートル上げれば大丈夫かという保証もないでしょうし、そもそもでき上がった後の景観はとても受け入れられるようなものではないと思います。
そこでお尋ねしますが、知事も、今回の災害復旧に当たっては、単にもとにあった姿に戻すだけではなく、創造的な復興を目指すと述べられています。この龍田陳内地区の復旧、復興に当たっては、知事の思いがぜひ伝わるような抜本的な治水対策を講じていただきたいと思いますが、どのような対策を講じようとしているのか、お伺いをします。
次に、第4点目ですが、今回の災害で、阿蘇地域での死者や行方不明者は、全員といってよいほど土砂災害によるものでした。過去の災害もそうでした。全国の被害を見ても、やはり土砂災害の犠牲者が際立って多いようです。よって、今後は、土砂災害の起こる危険箇所を知ることが大事になってくるのですが、今回の阿蘇地域では、土砂災害の危険地域だけが被災を受けたわけではなく、全く予期しないところも被災に遭っています。
そこでお尋ねしますが、土砂災害の被害を未然に防ぐため、今後どのような対策を強化されていくおつもりか、お尋ねをします。
次に、第5点目ですが、今、各政党は、近いうちにあるとされる衆議院選挙、そのマニフェストに防災、減災を柱とした政策提言を訴えようとしています。我が公明党も、防災・減災ニューディール政策を掲げていますが、これは災害の多い日本にとってはとても重要なことで、他党が訴えるのも至極当然のことと思います。
その背景には、先月29日、内閣府が発表しました南海トラフ巨大地震が起きた場合の被害想定は、関東以西の30都道府県で、最悪の場合、32万人を超える死者が出るとの予想もあるように、災害列島日本の現状があるからです。
本県も、この影響を受ける対象県であり、それ以外の災害を受けることも当然あることから、今まで以上に防災・減災対策に力を注ぐべきと思いますが、そこで気になるのが災害対策の縦割りの対応です。
河川、道路、砂防、港湾、農道、林道等、予算がつけば、ただ割り振るだけでは防災、減災の効果は発揮できないと思います。例えば、災害の種類ごとに最も有効な予算立てをするとか、また、地域で起きた場合は事業の優先順位を決めるなど、あらかじめ縦割りの弊害をなくす全県的な防災・減災対策を立てるべきと思いますが、県の考え方をお尋ねします。
次に、第6点目ですが、今回の阿蘇地域や熊本市龍田地区での復旧に大いに貢献したのがボランティアの活動でした。もちろん、そのほかにもいろんな人の手助けがあったことは言うまでもありません。ただ、このボランティアの活動で少し気になる点がありました。
まず、被災当日からボランティアに行きたいと思っても、連絡しようがなかった、現場に行っても、男女問わず全員スコップを持たされた、力作業ばかりで、作業によっては人を分けたほうが効率的ではないかとか、60歳前後の御婦人の方から、私たちでもやれる仕事があったらいつでも手伝うのにと、要望する側とボランティアを希望する側の意思の疎通が一部図られていないような気がします。
とうとい共助の精神を持たれており、被災者の方々には、何といっても一番心強い存在です。今後、ボランティア活動がもっと効率的に手配できるような対応が必要と思いますが、いかがでしょうか。
また、今回のボランティア参加には、特に高校生の参加が目立ちました。高校生のはつらつとした作業ぶりは、被災者の方に希望を与える存在となり、大変感謝されたようです。ぜひ、社会参加という教育の面からも、高校生のボランティア参加を今後も進めてもらいたいと思いますが、今後の取り組みについてお尋ねをします。
以上、1点目から5点目は土木部長、第6点目は健康福祉部長にお尋ねをいたします。
〔土木部長船原幸信君登壇〕