熊本県議会 本会議で城下広作の会議録
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・農業問題について
(1)営農意欲を向上させる効果的な施策 |
◆(城下広作君) ダムに関しては、とかく憶測とかいろんな怪情報とか、いろんなことで振り回されるような嫌いがありますので、やはりちゃんとしたデータ、ちゃんとした根拠のあるような形の情報を出していただきたいというふうに思います。 最後に、農業問題でございます。大事な問題ですので急いで話をしたいと思います。 年明け早々、ある新聞の記事で「「イモ主食」の時代も」という大きな文字が目に飛び込んできました。一瞬、またばかなことを書いているなと思い、目をそらそうかなと思いきや、一枚の写真を見てみると、中国の北京市の軽食通りに群がる人だまりを見て、興味がわき、ついつい読んでしまった後は、深いため息が出たことを思い出します。 記事の内容は「地球は人類を養えるのか」の文句から始まり、際限ない人口の増加、目まぐるしく激変する地球環境、行き着く先は、食糧危機が世界を襲う、その時、日本人が芋を主食として食べている日が来るかもしれないと末尾で結んでありました。 私も、小さいころ芋はどこへ行ってもおやつがわりに出され、もう十分食べ過ぎるほど食べてきたと思っております。今ごろはちょうどこっぱもちを食ってたんじゃないかなというような感じがいたしますけれども。その芋主食論の根拠として、食糧問題に警鐘を鳴らし続ける米国のシンクタンク、ワールドウオッチ研究所は、世界に二つの栄養不良があると指摘しています。一つは中国、もう一つはアフリカなどの途上国であります。 昨年十二月、中国政府は、現在十三億人いる人口を五十年後十六億人に抑えたい。そのため、当面は一人っ子政策を続けると発表したそうです。確かに、最近の中国は、改革開放政策で豊かになり、貧困層も三三%を占めていたのですが、現在は三%に減り、豊かな層の人たちが食糧需要を引き上げるのは十分考えられます。 隣の国の話でありますが、そのツケが来るのは間違いなく我が国の日本であるのは確かな気がします。今はまだ外貨獲得のために輸出に専念する動きが主流のようですが、天候不良や環境変化が起これば事態は急変すると思います。 そうした食糧の国際環境の中、我が日本の食糧自給率は、既に御承知のとおり、四〇%にすぎないのです。主食の米は、日本人の食生活の変化によって減少の一途をたどり、WTOの米のミニマムアクセス、最低輸入量も重なって、現在四割の減反を余儀なくされているわけです。さらに、米国を中心とした農産物輸出国は、日本の米に対してさらにミニマムアクセスの拡大や自由化の促進に向けて日本に圧力をかけているのです。一段と厳しさを増す国際情勢で、WTOの農業交渉が気になるところであります。 一方、国内では、農業人口の減少、農業従事者の高齢化、担い手不足など、農業をめぐる環境は年々厳しさを増し、昨年発表された農林水産省の二〇〇〇年世界農林センサスの発表によれば、我が国の十アール以上営む農家の総数は、三十年前に比べ四割減少の三百十二万戸、県にあっては、全国比を超え、ほぼ半数の五割に落ち込み、約八万戸で、農家人口の六十五歳以上の割合が二八・四%と三割に迫る勢いであり、当然それに反映して、耕作放棄地も年々ふえているのも理解できます。 国が何の手だてもしていないと思っているわけではないですが、手だて以上に、農業を取り巻く環境は予想以上に変化の度合いを増し、混迷を極めているのだと思います。その象徴的な出来事が近年の輸入野菜の急増であり、生産者は打撃を受けているわけです。広大な敷地に大量の野菜を作付し、売り込む先は各国大半が日本の市場を目指しているありさまは、まさに日本の市場をねらった国家的戦略事業だと確信せざるを得ません。 こうした流れが今後も続き、消費者が価格だけの基準に目を向けて購入に走るならば、大量生産の作付が不利な国柄だけに、今後の農業に失望して離農者が増大し、農地は荒れ果て、自給率のさらなる低下は免れないと心配しているのは一部の人たちだけではありません。農地に関係のない若年層や高齢者の方、そして台所を預かる主婦層からも毎日のように新聞に投稿が寄せられ、農業問題の関心の高さを物語っています。 こうした背景を受け、一昨年成立した新農業基本法に基づき、日本農政初めての直接所得補償制度、いわゆる中山間地等直接支払い制度が昨年四月にスタートしたわけですが、欧米では既に実施されて定着しております。 米国に至っては、対象地域の制限がなく、年間の支給額も、過去五年間に一回以上一定の作付をしたなら、一農家当たり年間最高四万ドル、日本円にして、一ドル百十六円で計算して、四百六十万円支払われるそうです。日本の場合は一農家当たり最高百万ですから、ここでも農家に対しての手厚い保護があり、農業輸出国の強さを感じます。 そこで、質問の第一点目ですが、今後も農産物の輸入自由化が進み、市場価格の下落など、農業経営を直撃することが十分考えられ、離農者対象、担い手不足、耕作放棄地による農地の荒廃が避けて通れません。それを防ぐために直接支払い制度は一定の効果を発揮すると考えられます。 しかし、現状は、農業関係の予算の約半分が基盤整備事業などのハード面に重点を置いてきた側面がありますが、今後は、農業者への直接支払い制度のさらなる充実、具体的には、県独自でも直接支援をするなどの政策を図るなど、営農意欲を向上させる効果的な予算配分を目指すべきであると考えますが、県としてどのように考えておられるか、お尋ねします。 第二点目に、稲作における生産性の向上と国民一人当たりの米消費量の減少により、今の現状では、自給率一〇〇%を超えているので、生産調整のために減反政策が実施されているわけですが、そのため、政策が続いている間は、不測の事態に芋との政策はだれ一人ぴんとこない問題であろうと思います。 その点を踏まえて、以上二点、御答弁をよろしくお願いいたします。 |