熊本県議会 本会議で城下広作の会議録
・医療事故防止対策について

(1)医療相談等の実態と対処
(2)医療機関における医療事故防止対策
(3)「医療安全相談センター」設置の準備体制
(4)「医療安全相談センター」における情報の開示

◆(城下広作君) 部長から答弁ございましたけれども、利用者の私たちにしてみれば、どこの施設が安全で入れるのかという目安がないと、やっぱりなかなか踏み込めないと。私は大分入ってはおりますけれども、特に高齢者の方はやっぱりこれは心配でしょうから、この辺は健康な私たちとは違って、やっぱり配慮が必要だということが大事だというふうに思っております。  また、温泉の有効活用でございますけれども、これは隣の県の大分県でございます。温泉がいかに効果があるかということを各温泉地を一つずつ細かく紹介、分析をして、県挙げてやっぱり取り組んでおりますので、うちは温泉に関しては絶対よその県に負けないぐらい恵まれておりますので、ぜひ真剣に取り組んでいただきたいというふうに思います。  次の質問に移りたいと思います。  続きまして、これもまた県民の大変関心の多いところでございますけれども、医療事故防止策についてでございます。  最近のテレビや新聞のニュースに頻繁に登場するのが医療ミスに関する報道であります。最初のころは、どこの病院だろうか、患者は何が原因で死亡したのだろうかと注意深く見守っていました。しかし最近は、こう立て続けに報道されますと、またかと、ついついあきらめの境地で、事故の報道に驚きがなくなったことにある種の恐ろしさを痛感します。  事実、高度な医療を行う大学病院などの特定機能病院で、二〇〇〇年四月からことし二月までのほぼ二年間で、院内の医療事故で患者が重篤となった事例が三百八十七件に上ることが、厚生労働省の調査で判明しました。また、投薬ミスなどの事故が計一万五千三件、事故に至らなかったニアミスの事例が十八万六千五百二十九件と聞けば納得するような気がします。  最近、記憶に新しいものとして、東京女子医大病院や熊本大学附属病院の医療事故があると思います。これはあくまでも、報告義務のあった全国の八十二施設のいわば国内で最高の水準に達した医療機関の報告でありますし、それ以外の一般病院を入れた場合には想像がつきません。しかし、医療事故で最愛の身内を亡くされた家族にとっては取り返しのつかないことで、一生涯の心の傷として残り、家計の中心者を亡くした家族にとっては生活設計を壊しかねない状態に陥ることもあるのです。  また医療事故かと聞き流すのではなく、二度と同じ過ちを繰り返さないよう、鋭意努力して指導していくのが行政の役目ではないかと思います。  こうした一連の医療事故の実態に、やっと厚生労働省も事故の未然防止と被害者救済支援に本腰を入れてきたようです。具体的には、現在全国に八十二施設ある特定機能病院についてのみ実施されている安全管理指針の策定、事故などの院内報告制度、安全管理委員会の設置、安全管理のための職員研修といった四項目を、全国の有床診療所や病院約二万七千カ所すべてに義務づけられ、医療機関が安全確保を怠れば都道府県などが改善を指導し、従わなければ院長交代を命じることもできるようになるという内容です。  そして、特定機能病院や、厚生労働省の指定を受けた新人医師の研修を実施している臨床研修病院など、総数で約六百施設には、新たな取り組みとして、患者相談窓口の設置、専任の安全管理者、いわゆるリスクマネージャーの設置、安全管理部門の設置といった三項目が盛り込まれて、来月十月から来年四月までの準備期間を設け順次実施されるのです。  そして、今回最も大きな取り組みとして注目をされているのが、医療機関のミスで患者が死亡したり、障害が残ったりする重大事故になったときにトラブルを仲介する、仮称、医療安全相談センターの設置が予定されたことです。  この医療安全相談センターは、都道府県が事務局となって患者から医療事故などの相談や苦情を受け付け、弁護士や住民代表、医師ら第三者でつくる委員会が間に入り、医療機関を指導するなどしてトラブル解消を目指していくということです。ただし、医療機関と患者側の主張が対立して控訴などに発展した場合は介入しないということになっていますが、それはいたし方がないとして、今まで泣き寝入りで終わっていたケースや医療機関に全く取り合ってもらえなかったケースが多かったことを考えれば、画期的なことではないかと思います。  ただ、一方的に医療機関だけが悪く、治療後に少しぐあいが悪くなっただけで、すべて医療ミスでないかと騒ぐのは全く今回の趣旨と相反することで、患者を診る医者が萎縮したり、新たな医療行為に意欲を欠くことになったりするおそれや、患者は患者でミスを恐れて高度な技術を拒否し続ければ、それ以上のリスクを背負うことになるでしょう。それを防ぐためにも、インフォームドコンセント、いわゆる患者への説明と同意が今後ますます重要になってくるのではないかと思います。  そこで、質問の第一点目ですが、現状を知る上でお聞きしたいと思います。  患者やその家族から明らかに医療ミスであるから調べてほしいとか、医療機関の内部従事者から問題があるので改善してほしいなどの要望などは、年間どのくらあっているのか、その実態と対処についてお尋ねをします。  次に、第二点目の質問ですが、来月十月一日より、すべての有床病院や診療所に義務づけられる安全管理指針の策定を含む四項目の安全確保体制整備の徹底や、高度医療機関に来年四月までと義務づけられた患者相談窓口の設置などの徹底や指導を担当する係は今後どのように対応していくのか、お尋ねをします。  次に、三点目の質問ですが、今回の画期的な取り組みのうちで、来年四月までに各県が事務局となって実施する予定の、仮称、医療安全相談センターの設置に関しては、県民も相当関心を持って推移を見守ると思いますが、患者が医療機関に対して相談や苦情を申しつけるパターンが多いため、弁護士や住民代表、医師などの第三者でつくる委員会と県の事務局との関係や連携が非常に重要になってくると思いますが、そこで、今後の課題として、人選に対する基本的な考え方、同センターの意義や存在を県民に対してどのように徹底していくのか、お尋ねをします。  第四点目の質問ですが、医療安全相談センターに寄せられた苦情や医療事故の相談状況、その中で明らかになった事故の内容等をどこまで公開していくのか、今の時点での情報公開についてどのように考えておられるのか。  以上四点、健康福祉部長にお尋ねをします。   〔健康福祉部長中村義彦君登壇〕