熊本県議会 本会議で城下広作の会議録
2.荒瀬ダム撤去の問題について

(1)水利権に関して
(2)民主党や社民党の議員の荒瀬ダム視察の際のコメント
(3)荒瀬ダム撤去地域対策協議会(仮称)について

◆(城下広作君) 知事の答弁にありましたように、マニフェストは重いという言葉を知事みずからそのように話をされました。私たちもマニフェストは大変重いものだと思って、公明党は、マニフェストの作成に対しては、慎重に、そしてやるなら明確な財源までセットしながら論議をし、そして国民に約束をすべきだというふうに取り組んできております。
今回の政権、国民にいろんないいことばかりを言って、結果的にやはりそれはお金がかかってできませんと、それを政党が言うならともかく、一部のジャーナリストや一部の例えばマスコミ等、それを仕方ないのではないかという言葉で言うようなこともございましたけれども、私たちは決してそうは思っておりません。やはり、国民、また県民と約束をしたマニフェスト、このことに忠実になってこそ政治は信頼を取り戻すというふうに考えております。
また、先ほど公共事業の件での箇所づけのこともございました。あってはならぬということもございました。私たちは、あれだけ批判をしたからには、クリーンな政治を行うということで国民に信頼を得ているわけでございますので、疑念を招くようなことがあってはならないということは、強く我々も今後主張していきたいというふうに考えております。
次に、昨日も大変話題を呼び、また激しい論議が繰り返されました荒瀬ダムの撤去の問題でございます。私たちは、公明党の立場から、この問題に対して質問をさせていただきたいと思います。
荒瀬ダム撤去の問題についてお尋ねをします。
歴代の知事の中で、ダム問題でこれほどまで悩まれ、強い決断をされた知事は恐らくいなかったでしょう。県政の最重要課題であった川辺川ダムについては、公約どおり、短期間でダムによらない治水対策を決断され、一方、荒瀬ダムについては、存続を表明されてからわずか1年数カ月で今回のダム撤去への方針変更、この一連の流れに戸惑いを感じる県民も少なくないと思います。
私も、当初は、川辺川ダムと荒瀬ダムの対応は理論的に整合性を欠くのではないかと思ったときもありました。しかし、今回のダム撤去表明については、政権交代という激変の中で、県民の幸福量の最大化を求める立場から、知事が機を見て敏感に対応されたもので、その決断力を評価し、理解する声も多く聞かれます。私も、知事の判断は、常に県民の立場に立っての決断である、そう理解しています。国家の防衛にかかわる重要テーマを、年内に結論を出すと公言していながら、5月まで先送りしたどこかの国の首相に見習ってもらいたいものだと思うほどの決断力です。
そこで、その蒲島知事に何点かお伺いしたいと思います。
まず1点目でございますけれども、水利権に関してお聞きします。
知事が荒瀬ダム存続を決断された平成20年11月より、河川を使用する現行水利権の許可期限がことしの3月31日に切れることから、県は、国交省と意見を交わすなど、事前の協議を重ねてこられたと思います。その結果として、期限切れ約1カ月前の先月24日に申請となりました。
知事は、いろんな関係者と会うなど精力的に動いてこられましたが、この間、政権交代という政治背景の変化もあっています。申請に至るまでの間、国交省の見解がどの時点から変化し、県との違いを生じたか、重大な関心を持たざるを得ません。
この水利権の申請手続に当たっては、新規申請と更新申請があります。今回の荒瀬ダムの水利権に係る手続では、県は、使用する水の量や施設に変更がないため、関係河川使用者の同意を必要としない前回同様の更新申請の手続をとられようとしていましたが、最終的には、国の見解どおり、新規の申請となったとお聞きしました。
そこで、お尋ねをします。
県が当初とられようとしていた更新申請の手続の根拠は何であったか、また、国土交通省と今まで河川法をめぐりどのようなやりとりや解釈が交わされたのか、そして、どの時点から国交省との見解の違いが生じたのか、経緯等も含め、県民に明らかにするためお答えいただきたいと思います。
2点目でございますが、知事は、今まで与野党を問わず多くの国会議員と会われ、荒瀬ダムについて意見を交わされています。私の知る限りでは、ダム撤去を求める民主党や社民党の議員が、撤去を決めるなら支援すると発言されていたと聞きます。民主党の菅代表代行・現副総理は、荒瀬ダムを視察されたとき、知事にどんなことを述べたのか、福島社民党党首・現大臣は、どんなコメントを知事にされたのか、とても大事なポイントです。県民の前に明らかにするため、お答えをお願いしたいと思います。
昨年12月の県議会でも「荒瀬ダム撤去の方針を表明されるなら、必ずや知事が望む諸条件はついてきます。理念が条件を引き出す、それが政治だと考えております。私たち民主党も、全力で応援していきたいと考えております。」と力強い発言をしたのは、ほかでもなく民主党の県議であったのは御承知のとおりであります。
今回の蒲島知事は、そのとおりに荒瀬ダム撤去を表明されました。知事、いかがでしょうか。民主党政権の財政支援に、与党の議員が公言したとおりの手ごたえを感じておられるでしょうか。率直に感想をお聞かせください。
ダム撤去を大合唱している与党が、皮肉にも撤去へのハードルになっている不可解な現状に、県民の間では激しい批判の声が日に日に高まっています。知事は、今後、当然、民主党と政府に荒瀬ダム撤去支援への有言実行を要求していかれると思いますが、今後に向けての知事の御決意をお伺いいたします。
〔知事蒲島郁夫君登壇〕