熊本県議会 本会議で城下広作の会議録
5.高齢化社会に対応する介護保険制度のあり方について

(1)公明党の政策提言「新・介護公明ビジョン」について
(2)要介護4、5の待機者の処遇について
(3)介護問題に関する長期的な展望について

◆(城下広作君) 道州制の取り組みについては、蒲島知事が全国のトップリーダーになってぜひ頑張っていただき、国を動かしていくというような形で取り組んでいただきたいと、強い期待感を述べておきたいというふうに思っております。
次に、5番目の質問に入らせていただきます。
高齢化社会に対応する介護保険制度のあり方についてでございます。
御承知のように、日本は、今、人類が経験したことのない超高齢化社会へと行き進んでいます。人口に占める65歳以上の割合は22%を超え、2025年には高齢化率が30%に達すると予測されています。
既に高齢化社会の問題はさまざまな分野で起きており、ゆえに公明党は、今介護問題の充実こそが最重要課題と位置づけ、全国3,000人の議員が一丸となって、昨年11月から12月にかけ、全国47都道府県で介護総点検を一斉に実施しました。
総点検では、1つ目、街頭アンケート、2つ目に、要介護認定者、介護家族、そして3番目に、介護従事者、4番目に、介護事業者、そして5番目に、自治体担当者の5分野に分けて実態調査を行い、10万件を超える介護現場の貴重な声を聞き取ることができました。
本県においては、昨年11月8日に、山口代表が、熊本市下通アーケード街でみずから街頭アンケートを行い、街行く人々が足をとめ、協力していただきました。そのほか、県下の公明党議員の訪問調査にも快く協力していただいた皆様に、この場をかりて厚く御礼を申し上げたいと思います。
公明党は、この介護総点検を踏まえて取りまとめた政策提言、新・介護公明ビジョンを、先月24日、首相官邸で鳩山首相に手渡しました。鳩山首相は、大いに政府として参考にする、具体的な内容については、早速厚生労働省などに検討を促したいと述べられたそうです。
この新・介護公明ビジョンでは、介護総点検の調査結果のポイントが3つございますけれども、介護施設の不足、在宅支援体制の不足、介護労働力の不足という3つの不足に対する不安が数多く寄せられたことから、高齢者が住みなれた地域で安心して老後を暮らせる社会を目指し、2025年の姿を前提に、2012年の介護保険制度改正で抜本的な見直しが必要として、7つの視点で12の提案、64 の対策の実現を求めています。
ここで具体的な中身を紹介したいと思います。
まず、1つ目の視点として、2025年までに介護施設待機者を解消。介護施設を倍増、特定施設、グループホームを3倍増にという分野でございます。
また、2つ目の視点で、在宅介護の支援を強化。24時間365日訪問介護サービスの大幅な拡充で在宅支援の強化を目指す。ただし、介護保険料の上限を設け、自己負担額を抑制すべき。3番目に、3年間介護保険を利用しなかった元気な高齢者の介護保険料やサービス利用料の負担を軽減するシステムの導入。介護ボランティアに参加した高齢者には、さらに軽減するシステムを。4番目に、家族介護者の休暇、休息を保障するレスパイトケア事業の拡充など、家族にリフレッシュしてもらうための事業を充実。
介護保険制度の利用者負担の見直しという分野では、5番目でございますが、低年金・低所得者の負担軽減を進め、グループホーム等の利用を可能に。
介護従事者の処遇改善をさらに拡充という分野では、6番目でございますけれども、介護従事者の処遇改善へ、介護職員処遇改善交付金の対象枠を拡大し、介護保険外の公的予算で継続。介護従事者の大幅給与アップなどの処遇改善につながる介護報酬の引き上げを行う。
次の項目ですけれども、ケアつき高齢者住宅の大幅な拡充で、7番目でございますけれども、高優賃や高専賃等の整備充実とともに、公共住宅や空き学校などの活用でケアつき高齢者住宅を大幅に拡充。
また、介護事業の抜本的な運営の改善という項目では、煩雑な事務処理の仕分けを行い、手続の簡素化、要介護認定審査の簡略化で、すぐに使える制度に転換をする。9番目に、特養ホームなど介護施設の介護職員の配置基準を改め、現行の3対1から2対1に。10番目でございますけれども、要介護度を軽減させた介護所を介護報酬で評価する制度の導入。
そして、7番目の項目でございますけれども、介護を支えるために公費負担を大幅に拡大。項目としては11番目に、介護保険外の公的予算で介護予防事業をさらに充実。12番目に、公費負担割合を5割から当面6割に引き上げ、2025年には介護保険の3分の2を公費負担で賄う。
以上が7つの視点で12の提案でした。64の対策は、ぜひ公明党のホームページを見ていただきたいと思います。
そこで、質問の第1点目ですが、率直に、今回の公明党の政策提言、新・介護公明ビジョンについて、本県の介護問題と照らし合わせ、どのように評価されるか、お尋ねをします。
第2点目ですが、今回の予算案では、認知症高齢者支援、中山間地における在宅介護サービス事業の支援、特別養護老人ホームやグループホームの支援等、知事の介護問題に取り組む姿勢はかいま見えますが、やはり施設待機者は県下に相当いると思います。特に、優先入所が必要な要介護4、5の待機者の処遇は喫緊の課題でありますが、現在県下に待機者は何人ほどおられるのか、また、その中で特に対応が急がれる在宅生活者で要介護4、5の重度の方はどれくらいおられるのか、お尋ねをします。そして、このような方々に対し、不安を解消する具体的な取り組みはなされているのか、お尋ねをします。
3点目の質問は、現在県の介護問題に関するトータルプランは平成23年度までを対象とするものであり、やがて次の24年度から26年度の計画の策定に着手されることと思います。その最終年度は、団塊の世代が65歳を迎える2015年に当たるわけですが、その先を見れば、団塊の世代が後期高齢者の75歳を迎える本格的な高齢化社会が待っています。次の3年間の計画を策定するに当たっては、そういう状況を見通した長期的な展望を持って取り組むべきと思いますが、いかがでしょうか。
以上3点、健康福祉部長にお尋ねをいたします。
〔健康福祉部長森枝敏郎君登壇〕