熊本県議会 本会議で城下広作の会議録
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7.災害復旧の効率化対策と災害情報の確保について
(1)地籍調査の推進 |
◆(城下広作君) しっかりと民生委員さんの協力も必要になってまいりますので、今いろんな社会問題等民生委員さんの協力する場面は多くなっております。ぜひやっぱり支援をしていただきたいというふうに思います。 次に、災害の関連でもう1つ質問させていただきます。 災害復旧の効率化対策と災害情報の確保についてであります。 やはり災害で一番つらいのは生命と財産を失うことです。先ほど述べた新潟県中越沖地震の推定被害総額は1兆5,000億円、新潟県中越地震では推定被害総額は3兆円だったそうです。そして、あの阪神・淡路大震災では、推定被害総額は何と9.9兆円でありました。そして、近い将来、大地震が予測されているのが東南海地震であるのは国民だれもが知っています。この地震の被害想定範囲は、まさに日本の政治、経済の中心を襲う可能性が高く、その被害総額は見当もつかないのではないかと思います。 政府も被害想定範囲内の各地方自治体も、被害を最小限度に抑えるための対策を講じていると思いますが、自然災害の破壊力にはそう簡単に立ち向かうことはできません。また、地震だけでなく、最近の異常気象で台風の大型化も危惧され、ゲリラ豪雨が多発するなど、ますます災害の心配が消えることはありません。本県で、大地震、大型台風、ゲリラ豪雨等がいつ起こるかわかりません。 そこで、災害で最も重要なことは国民の生命を守ることですが、もう一方で、国民の財産を守ることも強く求められています。 具体的に言えば、山林、田畑、住宅地など、公私にわたり守るべき土地が数知れずあります。それが洪水や土砂災害で一瞬にして奪われたり、大地震では、大地そのものが大きく変化し、土地などの存在そのものが不明確になってしまいます。ゆえに、災害復旧で一番苦労するのは、公私にわたる土地所在の明確化と思います。先祖代々から守り続けてきた土地、みずから苦労して手に入れた土地、公共の財産として取得した土地、どれも皆保障されて当然の財産であります。 そこで、その復元に有効に活用されてきたのが字図や地籍図の存在ですが、さきの通常国会で、国土調査促進特別措置法と国土調査法の一部改正法が成立しました。 今回の改正法は、地籍測量の迅速化を図るために行われました。地籍測量は、特に都市部や山林でおくれており、それが都市開発や森林整備のおくれの原因にもなっています。 また、地籍図がないことで、災害復旧では判別できなくなった境界確認から始まるため、災害復旧に支障を来すことが特に多いと言われています。例えば、阪神・淡路大震災では、地籍情報がないことからトラブルが多く、また、都市開発でも、あの六本木ヒルズの再開発では、境界確認に4年の歳月と多額の費用を要した経緯があります。 このようなことから、地籍測量の役割は非常に重要なのですが、本県の状況を見てみますと、各市町村の取り組みには大きなばらつきがあるようです。 県下の現状は、既に完了した市町村は19カ所だけで、50%に満たない市町村は9カ所あります。都市部である熊本市の場合、今のペースで取り組むとすれば、100年はかかると言われています。 国も、平成22年度以降の10カ年計画を策定し、全国統一的な見地等から目標を設定し、計画的かつ効果的に調査を促進するとしています。災害復旧の手がかりとしての役目、都市開発や森林整備に活用する役目、どれも皆重要な役割で、整備促進が望まれています。 そこで、本県として、地籍調査の推進についてどのように考え取り組まれているのか、農林水産部長にお尋ねをします。 次に、災害の予兆や接近を知らせる役目、災害発生からの災害状況やその後の対応の情報収集は、生命を守るために大変重要なことです。それを提供してくれるのがテレビを初めとする通信システムですが、その中で一番なじみがあり、幅広く利用されているのがテレビであると思います。 しかし、このテレビ、御承知のように、来年7月24日正午、アナログ放送がすべて終了し、地上デジタル放送に完全移行します。デジタル化することによる恩恵は、高画質、高音質等多種多様ありますが、災害の情報の充実にも大きく寄与すると期待されています。 ところが、この地デジ完全移行に向けて問題となっているのが、山間部やビルの陰が原因となって起こる難視であります。せっかく大型のデジタルテレビやチューナーをつけても、放送波を受信できなければ、クリアどころか全く映りません。 5月末に総務省が発表した調査結果では、チューナー内蔵テレビや外づけチューナーなど、地デジ放送を受信するための対応を終えている世帯は、全国平均83.8%となっているようです。逆に、未対応世帯は全国で900万世帯あり、その理由の一つが難視地区の存在だと言われています。 本県の状況を見てみると、8月10日現在で、県内の難視地区は490地区、難視世帯数は9,399世帯となっています。難視地区は県下全域に点在していますが、山間部や特に天草地方に多いのが大変気になります。過去においても大災害を経験した地域でもあります。いよいよ地デジ完全移行まで1年を切り、特に高齢世帯や高齢者の単身世帯では不安に思っておられることと思います。 そこで、地上デジタル放送の移行に伴う難視対策の取り組みについて、企画振興部長にお尋ねをいたします。 〔農林水産部長廣田大作君登壇〕 |