熊本県議会 本会議で城下広作の会議録

1.7.12熊本広域大水害の復旧状況と今後の防災・減災対策について

(1)県下の復旧状況と復旧に当たっての問題
(2)避難指示の明確な伝達方法と避難のあり方
(3)本県における今後の防災・減災対策

◆(城下広作君) 公明党の城下広作でございます。私は、きょうの質問は5項目でございますけれども、答弁をしていただく方は、延べ9回でございますので、質問よりも答弁者が多いもんですから、答弁の方は簡潔に、1ラウンド2分ぐらいでやっていただきたいなというふうに思っております。3分やると、ちょっと時間がなくなるもんですから、1ラウンド2分と異例のラウンドで、ぜひ答弁を考えていただきたいというふうに思います。
 最初に、7.12熊本広域大水害の復旧状況と今後の防災・減災対策についてお尋ねをいたします。
 昨年7月12日に発生した熊本広域大水害から、やがて1年を迎えようとしています。23名のとうとい命を奪い、今なお2名の方は行方不明の状況にあります。改めまして、亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。
 また、本年は、昭和28年6月26日、熊本市内の白川氾濫で死者、行方不明者537名を出した大水害、いわゆる6.26水害から60年の節目にも当たります。本県も過去の水害からたくさんの教訓を学んできましたが、やはり自然が相手、いつ、どのような形で災害に遭うかは予想しがたく、厄介なことに、時間がたつと、その時々の教訓も薄れてくるのが世の常であります。
 しかし、本県は、梅雨の時期になれば大雨被害、夏から秋にかけては大型台風に見舞われることが多い地理的状況にあり、その都度とうとい人命や財産を奪われることがないよう、官民問わず、具体的な対策を講じることが求められ、これをリードしていくのが行政の使命だと思います。
 そこで、昨年の熊本広域大水害の復旧状況やその過程で起こる問題点や今後の防災対策についてお尋ねをいたします。
 まず第1点目ですが、県下の河川や道路、砂防や治山、農地や農業施設等、いわゆる国の災害復旧にかかわる業務について相当な被害が出たので、災害査定や設計の完成、工事発注の準備等、大変ハードなこの1年だったと思います。そうしたことも影響したのか、工事発注では1社1応入札と一部誤解を招く入札を取り沙汰されたり、阿蘇市では農政関係の工事入札で応札者がいなかったりと、何かと気になることを多く耳にしましたが、田植えや各種農作物の作業が大変忙しい時期、被害者からは、一日も早い復旧を望む声が多かったと思います。また、全国からたくさんの激励、義援金やボランティアの支援を受けたこともあり、その後の復旧を気にされる方も多いと思います。
 そこで、今回の熊本広域大水害における県下の現時点での復旧状況についてお尋ねします。また、今回は大変大規模な復旧作業になると思いますが、復旧に当たり、特に問題になるようなことはないのか、お尋ねします。
 第2点目の質問ですが、県は、今回の熊本広域大水害を教訓に、災害対応に係る検証等を行っていますが、大変大事なことと思います。この中で気になる点についてお尋ねをします。
 今回の災害では、地域住民の避難のタイミングが非常に難しいと痛切に感じました。例えば、私は、昨年の7月12日午後より、龍田陳内4丁目に足を運びました。現場で目にした光景には、ただただびっくりで言葉も出ませんでした。せめてもの救いは、人命が失われなかったことです。その現地で住民の皆様が口々にされたのが、避難を呼びかけるものが何もなかった、あと数分逃げおくれていたら流されていた、あと1時間雨が降り続いていたら家ごと流されていた、生きているのが不思議なくらい等の言葉でした。あらかじめ避難できた方々は、偶然白川をのぞいてみると異常な水位の上昇に驚き、自主避難をした、隣近所の呼びかけや車のクラクションの音で異常を感じ、間一髪で車ごと避難し免れたと聞きました。しかしながら、高齢者や呼びかけや音に気づかなかった方々は取り残され、家屋の2階に上がり、濁流が上昇する恐怖を感じながら、ヘリコプターの救出を待っていたと聞きました。
 阿蘇の土砂災害で多くの犠牲者を出した地域も、やはり明確な避難指示やそれを知らせる音が雷雨に消されるなどして逃げおくれたと聞いています。やはり住民にとっては、明確な伝達方法が不可欠と言わざるを得ません。
 そこで、雷雨がすご過ぎて隣の方に呼びかけるのも困難な状況、停電で情報が途絶えてしまった状態、深夜で就寝中のため連絡がとれないなどの悪条件が重なることも想定した上での明確な伝達方法と避難のあり方等について、今後どのように対処されようとしているのか、お尋ねします。
 第3点目の質問ですが、知事は、昨年の熊本広域大水害の復旧、復興に当たり、過去の対応にとらわれず、創造的復興に努めると被災直後から述べられ、陣頭指揮をとられてきました。災害といえば原形復旧が原則の中、知事の復旧、復興にかける思いが強いことに、どれだけの県民が勇気づけられたかしれません。あの国道57号線滝室坂の復旧も、本来ならば原形復旧で終わるところを、知事の再三の国土交通大臣への直談判が功を奏し、なかなか進捗しなかった中九州横断道路とも絡ませて、トンネル部分4.6キロ、総工事230億円という誰も予想できなかった予算を獲得することができました。また、熊本市白川の河道変更も同様であります。ここで、昨年の熊本広域大水害の復旧、復興に対する知事の対応を高く評価したいと思います。
 このようにして、着実に復旧、復興の道は開かれていますが、またいつ、どこで起こるかわからない災害です。ことしは空梅雨と話題になっていますが、安心はできません。そこで、知事は、昨年の熊本広域大水害から多くのことを学ばれたと思いますが、本県における今後の防災・減災対策について、知事の御所見をお伺いいたします。
 以上3点、第1点目から2点目は知事公室長に、3点目は蒲島知事にお尋ねをいたします。
  〔知事公室長田嶋徹君登壇〕