熊本県議会 本会議で城下広作の会議録

2.高齢者対策について

(1)認知症行方不明者の早期発見手段
(2)高齢者犯罪に対する福祉面の対策
(3)県営住宅における単身高齢者への対応

◆(城下広作君) この地方創生の問題は、今回の衆議院選の最大のテーマでもございます。また、各都道府県は、本当に、この予算の配分、内容、このことをどのようにして考えていこうかと、あわせて市町村も大変な思いで考えるわけでございます。そうしたときに、特に県内での市町村と県の考え方、これが一致をしていかないと、ばらばらの考えであっては、これはまとまらないと、結果的には功を奏しないことがありますので、しっかりと市町村と連携をとっていただくような形で要望したいというふうに思っております。
あわせまして、高校再編の問題、これは、ある意味では、その地域地域にとっては大変な問題でございます。そういうことを考えての今の計画でございますから、それはそれとして、しっかりと現場の疑問にも答えていくという形で臨んでいただきたいと思います。大事なのは、その先をまた考えるときに、今まであったことをどう生かしていくかという視点も、今度新たな計画のときにはしっかりと盛り込んでいただきたいというふうに思います。
それと、夜間中学ですけれども、確かに9月に調査をされておりますけれども、これは、調査がどのくらい――ある意味では、本当に必要なのかという調査をやったかというのは甚だちょっと疑問がございます。あえて詳しくは述べませんけれども、やはり本当に戦争の巻き添えで教育を受けられなかった、しかし、今は、年をとってももう一回勉強したいという方は必ず県下にはおられると思います。また、外国の方も、日本を本当にある意味では縁を感じたと、そこで学びたい、定住したいという方もおられますので、この辺も検討する必要があるのかなというふうに思います。よろしくお願いします。
では次に、高齢者対策について質問をしたいと思います。
きょうは、高齢者の角度で3点ぐらい考えまして、このことでぜひともまた答弁をよろしくお願いしたいと思います。
まず初めに、認知症行方不明者の早期発見の手段について質問します。
認知症による徘回で行方不明になり、保護された後も身元が判明しないケースを受けて、厚生労働省は、ことし6月、全国1,741全ての市区町村を対象に、初の実態調査を開始しました。
それによると、ことし5月末時点で、139市区町村で把握された身元不明者のうち、認知症の人が35人いることが判明、認知症を除く精神疾患などの身元不明者は311人だったそうです。
認知症の身元不明者の推定年齢は70歳以上80歳未満が18名と最多で、保護されている先は、特別養護老人ホームなどの老人施設が17名、病院が10名で、保護年月が10年以上に及ぶ人は6名いたそうです。
また、平成25年度に855の市区町村で把握された認知症の行方不明者は5,201人で、約97%は年度内に発見されたそうです。
そこで、我が県の警察本部における認知症行方不明者受理件数で見てみますと、平成24年が160名、平成25年が180名、本年度分の最終はまだ出ていませんので、本年、26年の1月から6月までの半期分と昨年の25年の1月から6月までの半期分とを比べてみますと、平成25年は79人、本年は119人で、約1.5倍増加しています。幸いにして、我が県では数日のうちに身元が判明しているようです。
私は、以前NHKで、行方不明者の近況を追う特別番組を拝見しました。率直な感想ですが、今の時代に、自分で姿を隠そうとする人、誘拐など以外に見つからないということがあるのだろうかと、不思議に思いました。ただ、身寄りのない人が認知症になった場合、徘回などで知らない地域に紛れ込んだ場合は、身元不明者になり得るのかなと想像がつきます。
そこで質問ですが、今全国では、認知症の行方不明者をスピーディーに捜そうといろんな取り組みがなされています。
本県でも、警察本部では、ゆっぴー安心メールで、捜索願が出された行方不明者の方の不明になった地域や特徴を知らせるメールが配信されています。また、市町村でも、地域包括支援センターの連絡先が入った札の携帯や県境を越えた連絡メールの配信など、いろんな工夫がなされています。
しかし、このような取り組みは、県内全ての市町村で行われているわけではなく、特に市町村区域を越えた広域的な連携に関しては、一部の地域にとどまっているのが現状と認識しています。
私としては、認知症の行方不明者を早期に発見するために、広域的な市町村連携を図るなど、熊本県全体の取り組みとして対応していくことが必要ではないかと思いますが、今後の県としての考えをお尋ねします。
また、そうした取り組みに加え、私は、最終確認の手段として、当然本人や家族の同意のもとではありますが、対象者の衣服、例えば上着、肌着、下着にQRコードのタグをつける……(資料を示す)こういうことでございますけれども、QRコードをつけると。これはタグでもいいし、プリントするというのもいいんですが、こういう情報があって、こういう、例えば本人の名前、住所と書ける人は書く。ただ、書くと犯罪に巻き込まれるというようなことがあれば――言いたいのは、一番最終的には、その方が事前に登録を、自分の最寄りの警察署、例えば派出所を書いておく。登録しておけば、ここを照らし合わせた情報が、この方はどこの警察の管轄だということになれば、仮にその人を捜すときには警察署に連れていくという形になれば、犯罪に巻き込まれる心配はなくなるということでございます。
そこで、それらを認識し発見した場合は、発見者が意識を確認し、QRコードのついた衣服を身につけていれば、携帯電話、スマホ等で照合すれば、素早く身元の判明の迅速化につながると思います。このような取り組みについて、県の認識はどうかでございます。
もう1点、高齢者の問題で気になることがあります。それは、高齢者による犯罪の増加であります。
本県の状況を見てみますと、本年10月末現在で、全刑法犯のうち高齢者率は21.3%、窃盗犯で27.2%、万引きでは39.9%が高齢者の犯罪です。これらは毎年増加の傾向にあります。
このように、高齢者犯罪の背景としては、生活の困窮や将来不安、地域での孤立感や認知能力の低下を指摘する声もあるようです。
このような問題も、高齢者の福祉の面からも何らかの手だてを考える必要があると思いますが、以上2点、松葉健康福祉部長にお尋ねします。
次に、高齢者の問題でよく相談を受けるのが、単身向けの公営住宅の入居希望です。
以前は、家族が多く広いアパートや借家を借りていた、しかし、今は子供も独立し、親元を離れ、連れ添いはいなくなり、年金暮らしで、住宅の負担を軽くして生活費に回したいという声であります。また、既に公営住宅に入っておられる単身暮らしの人の中にも、現在入居している部屋は広過ぎるから、若い人に入ってもらい、そのかわりに自分自身は一回り小さな部屋でもよいから住みかえをしたいとの声も聞きます。
現に、県営住宅の過去5年間の入居申し込み状況を見てみますと、県営住宅の申し込み件数は減少傾向にある中、高齢者の家族での申し込みの割合は上昇傾向にあり、特に高齢者の単身での割合はそれ以上に上昇傾向にあります。私が現場で聞く声と県営住宅入居申し込み状況は、ほぼ一致することになります。
このような状況を踏まえ、今後、県営住宅における単身高齢者への対応についてどのように考えておられるか、猿渡土木部長にお尋ねをいたします。
〔健康福祉部長松葉成正君登壇〕