熊本県議会 本会議で城下広作の会議録

3.防災対策の推進について

(1)国土強靱化地域計画に対する思いと市町村計画に対する対応
(2)本県の後方支援の認識と体制
(3)災害のおそれのある区域の把握とその活用策

◆(城下広作君) 災害発生後に、大変私たちの生活に痛手をこうむるのが上下水道の不備。このことによって水が出ない、例えばトイレが使えない、そのときに業者というのは、大変尽力をしていただいて、熊本地震でもそうでした。
 ところが、今現場の事業者にとってみれば、人口減少というのは、一番生首を絞めるような状況で、だんだんだんだんお客さんがいなくなると経営が厳しくなる、そうすると潰れていく、そうすることによって、いざとなったときにはその事業者の数が足らない。
 また、この広域化計画で大きくやると、どうしても大きな事業者が、逆に言えばその仕事をやるということが都合がいいようになりますけれども、そのときには小さい会社が抹殺されてしまうということも発生するということで、いろんな意味で広域化するときには、そういう問題を考えながら、しっかりとこの地域に合わせたり、業者の現状に合わせることを組み入れながらやることが大事じゃないかなということで、今後、計画に当たっては、そういうところもしっかりと配慮をして頑張っていただきたいというふうに思います。
 では、3番目でございます。防災対策の推進について質問を行います。
 ことしの夏は、猛暑、酷暑が続き、全国的にも熱中症で病院に運ばれる患者が多く、過去最高の数ではないかと話題になりました。また、台風も、連日発生するケースや、通常、日本列島の西側から東側に進路をとる台風が、真逆の東側から西側に進路をとる台風もありました。
 そうした中、7月6日、数十年に1度の重大な被害が予想される大雨特別警報が、過去最多の11府県に発令されました西日本地域、まことに残念ながら、200名以上の犠牲者を出し、西日本豪雨災害となりました。
 気象庁は、7月の豪雨と猛暑を、30年に1度よりも発生確率が低いという意味で、異常気象だと総括しました。
 また、今月4日には、台風21号が四国に上陸、その後、関西地域を縦断し、関西空港を初め多くの被害を出しました。このような異常気象は、地球温暖化の影響で、今後さらに頻度が高まると言われています。
 また、今月6日には、北海道胆振地方を震源とする震度7の地震が発生し、多くの犠牲者を出しました。
 たび重なる災害を予見し、国を初め都道府県や市町村では、災害に備えたさまざまな防災対策を策定、訓練等を実施し、災害対策に尽力してきました。
 しかしながら、大事なことは、せっかく策定された計画や訓練が、肝心なときに情報の収集を怠ったり、安易な判断での初動のおくれで、最悪なケースを生まないようにすることです。さきの西日本豪雨災害でも、同じような反省が聞かれました。
 そこで、本県も、過去に豪雨、台風、地震被害などで大変多くの犠牲を出した災害被害県として、防災対策には特段の対策をとってきたと思います。
 その1つが、昨年10月に策定された熊本県国土強靭化地域計画だと思いますが、この計画の中身を見てみますと、本県で起きた過去の災害の教訓を生かし、ハード面だけではなく、ソフト面の対応も盛り込み、本県の災害対応の最新のバイブルだと思いますが、そこで第1点目の質問ですが、この熊本県国土強靭化地域計画は、国の国土強靭化基本法に基づき策定されたと思いますが、基本法では、さらに市町村にも策定の促進を促し、県、国、市町村が共通認識を持って防災対策に取り組む考えですが、残念ながら、本県では、現在まで市町村が策定したところはないようです。
 そこで、本県の国土強靭化計画に対する思いと、今後、市町村の策定に対する御対応を蒲島知事にお尋ねいたします。
 第2点目の質問としまして、災害時の後方支援のあり方についてお尋ねします。
 私は、ことし5月に、岩手県遠野市に視察に行きました。目的は、遠野市が、東北大震災の折、岩手県内において、地理的要因から、釜石市や宮古市など太平洋沿岸の市町村に対して、震災当初から支援が必要な日まで、支援物資や自衛隊、消防隊、土木関係者などの拠点基地として大活躍し、その成果から、災害時の後方支援の国のモデルになったからであります。
 このことは、全国的にも知られており、全国の首長や議会などが多数視察に見えました。拠点基地の指揮をとられ、今回、私にも、当時から今日までの様子を詳しく教えていただいた遠野消防署長から話を伺いました。
 遠野市では、過去の災害の教訓から、以前より後方支援の体制を市の防災計画に事細かく計画していたそうです。それが、東北大震災のとき、すぐさま後方支援の機能を発揮することができたとお聞きしました。
 そこで、本県も、今後、どこで、どのような災害があるかわかりません。例えば、一般的に私たちは、どこかの市町村が被災を受けた場合、その市町村に救援物資を送ろうとしますが、災害の状況次第では、かえって混乱を招くことがあります。そうした手違いがないよう、あらかじめ地域性を踏まえた後方支援拠点基地の選定がなされていれば、機能を十分発揮することができると思いますが、本県の後方支援の認識と体制についてお尋ねをします。
 次に、3点目ですが、7月の西日本豪雨災害での犠牲者は、その多くが土砂災害、河川の氾濫による洪水、浸水被害でした。
 広島県などは、数年前にも同じような被害を受け、土砂災害の意識も高かったと思いますが、もともと雨が少ない地域で、災害復旧も完成していることから、安心感があったのかと想像します。ただ、今回の大雨特別警報レベルの雨が降ると、この地域の特徴である真砂土の斜面は、どこでも崩壊のおそれがあると言われています。
 本県も、過去の大雨や地震により、土砂災害で多くの犠牲者を出しました。その危険箇所を察知するため、県では、土砂災害防止法に基づき、平成13年からスタートし、本年3月に、県下全域の土砂災害警戒区域、通称イエローゾーンと土砂災害特別警戒区域、通称レッドゾーンの区域指定が完了したと伺いました。
 そこで、お尋ねいたしますが、イエローゾーンやレッドゾーンは、土木学の観点から、一定の基準を用いて決定すると思いますが、一般の県民からすると、イメージとしてイエローゾーンよりレッドゾーンがより危険と受け取られると思います。
 しかし、例えば、ここ数年間で数回土砂災害の被害を受け、死者も出した阿蘇立野地区は、イエローゾーンの指定となっています。熊本大地震の際も、大規模な土砂災害が発生し、死者も出ました。
 また、指定がない地域でも、土砂災害が発生したところがあったと思いますが、いずれにしましても、県民に対して、土砂災害指定区域の意味を十分に理解していただき、早目の避難が命を守る一番の秘策と理解していただくことが重要だと思います。
 あわせて、土砂災害区域指定を行う場合、人工的な水路やダム等がある場合は、その影響は対象外としていますが、影響を考えなくてもよいのか、お尋ねをいたします。
 また、本県が取り組んでいるレッドゾーンからの移転補償で、最高300万円補償する制度も大いに活用していただきたいと思います。
 あわせて、浸水被害について伺いますが、さきの西日本豪雨災害で岡山県倉敷市真備町では、堤防の決壊で、地区面積のおよそ3割が浸水、多くの犠牲者を出しました。この地域のハザードマップでは、浸水被害を想定、実際の浸水高とほぼ一致していたそうです。
 ここで言えることは、地図上でたとえ想定できても、注意喚起や住民の理解や自覚がなければ、まさに絵に描いた餅になります。
 洪水浸水想定区域や土砂災害警戒区域等の防災情報をもとに、各自治体でハザードマップを作成していると思いますが、県として絵に描いた餅にならないような対策はとってあるのでしょうか。
 2点目は坂本知事公室長に、3点目は宮部土木部長にお尋ねをいたします。
〔知事蒲島郁夫君登壇〕