熊本県議会 本会議で城下広作の会議録
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3.TSMC進出関連について (1)県内就労状況と人材流出 |
◆(城下広作君) 知事が沖縄にいたときに遭遇されたというのは、今初めて聞きまして、びっくりしました。それだけ多分緊張感も感じられたというふうに思います。 北海道では、ちょうど地下鉄の――7時55分ぐらいのときにJアラートが鳴ったそうでございます。そうすると、全ての乗客の皆さんのスマホまたは携帯電話、全部音が鳴って、相当パニクるような状況だったみたいでございます。こういうことも、まさにやっぱり経験しないと分からないのかな。 ただ、この情報をいたずらに全く関係ないと捉えてしまうと、いざというときには大変な間違いを起こしてしまうということで、やはり、これは国により正確な発信という形を頑張ってもらう方法はないのかなというふうな感じがいたします。 それでは、次の質問に入ります。 TSMCの進出関連についてでございます。 昨年9月議会の代表質問と同じ項目の質問を取り上げました。 本県におけるTSMCの進出は、それだけ期待も大きければ、課題も抱えていると私は捉えています。 まず、第1点目の質問ですが、やはり、TSMCの進出に当たり、県民の多くが期待するのが、県内の雇用であります。 TSMC関係でも約1,700名、関連会社やそのほかの企業の進出で、ほかに数千名規模の雇用が見込まれると言われています。当然、台湾からの赴任者や優秀な人材が県外から雇用されることは歓迎されることですが、第2工場の報道を受けて、その期待がさらに高まります。 しかしながら、言われているような雇用があれば、県内の雇用に期待が高まるのは当然で、それがTSMC進出の最大のメリットとして捉えている県民も多いと思います。 そこで、今日までのTSMCの進出に伴い、関連企業も含め、県内からの雇用はどれくらい見込まれているのでしょうか。また、既に就職または内定など受けた方の実態はつかんでいるのでしょうか、お伺いいたします。 さらに、雇用に関連して心配されるのが、県内の企業からのTSMCを含む関連企業へのいわゆる人材流出ですが、これらについて、特に問題は発生していないのか、三輪商工労働部長にお尋ねをします。 次に、第2点目の質問ですが、今、TSMC周辺の土地が、関連企業の進出や住宅用地の需要増で、土地価格の高騰が話題になっています。午前中の質問でもありましたが、その影響は、農業関係者など多岐にわたっているようです。 そこで、私が心配するのが、今TSMCの建設が進む中、新たに第2工場の話が出てまいりました。大変喜ばしいことと受け止めています。また、隣接するソニーも、新工場の計画があると聞いています。この2つの案件が実現しますと、今の関連企業の数では到底収まらず、我々が考えている以上の大規模な半導体関連の拠点になる可能性があります。 ところが、周辺のインフラ整備、特に道路事情は大変厳しいものがあります。現状ですら渋滞は深刻ですが、先ほどの計画が実現すれば、渋滞問題は深刻をはるかに超え、大混乱を引き起こすことになります。県道大津植木線の一部を多車線化する計画もありますが、4車線では足りず、場所によっては、6車線化やそれ以上の道路が必要になるかもしれません。 本来であれば、現在の工事前に道路拡幅が進んでいることが理想ですが、今さら言っても仕方がありませんので、これから予想される工事の前に道路拡幅を進めることが重要になります。 そこで、緊急性の高いTSMCを取り巻く周辺の県管理道路等の今後の具体的な整備計画についてお尋ねします。 また、用地買収について、気になる点があります。 先ほど述べたように、周辺地域では、民間企業等の用地買収もあり、価格が高騰していると聞きます。これが事実なら、いざ県が道路拡幅のため用地買収に動いたとき、土地所有者は、民間で売買された価格が頭にあり、それと同等の価格を求めることが予想されます。あくまでも県の買収額は基準に基づき算定するものと考えますが、民間の買収額との隔たりが大きければ、用地交渉が難航することが予想されます。 私は、その心配をなくすためにも、県の用地取得が先行することによって、周辺の土地の買収価格の安定化に寄与すると考えますが、今後の用地買収の計画と対応について、亀崎土木部長にお尋ねをします。 次に、第3点目についてお尋ねします。 TSMCの進出に伴い、何かと話題になるのが地下水の問題です。 私は、これまでに、TSMC進出の決定前に5回、決定後に1回質問しています。内容としては、地下水保全の具体的な対策として、採取量の正確な把握、涵養対策、地下水税導入の提案でした。 最近は、特にTSMCの進出で、関連企業も含め、地下水の取水量が増え、水位の低下を心配する声が上がっています。第2工場の決定で、その不安はさらに高まることが予想されます。 私は、地下水の重要性を認識する最善の取組は、公共水としての水を大切に使うこと、その実現に当たっては、使用する側が公共水の使用量により応分の負担をすることが一番と考えます。 例えば、個人にあっても、蛇口をひねれば水が出る、だけど、無駄な水を使えばもったいない、それに水道料も高くなる、だから水を大切にする行動を取ります。 現在、大口の採取事業者の中には、水循環型営農推進協議会や熊本地下水財団の水田湛水事業に協力金という形で負担され、取水量を超える涵養を行っている例もあります。TSMCも取水量を超える涵養を発表し、県も地下水涵養指針の見直しを検討するなど、地下水保全の意識が高まりつつあるようです。 しかし、地下水は、確実に守る必要があります。私は、従来から、地下水税を創設し、得た財源で大幅な涵養対策を行ってでも地下水を守るべきと思い、質問してきました。この信念は今も変わりません。 今後、TSMCをはじめ、半導体産業の集積により、さらに地下水に対する県民の不安も広がりかねないと思います。知事の地下水の現状に対する認識と、公共水であり、県民全体の宝である地下水に対して、どのように企業に負担を求め、どのように守っていくのか、蒲島知事にお尋ねをいたします。 〔商工労働部長三輪孝之君登壇〕 |